自分には霊感は全くないと思うけど、唯一体験した話があるのでその話をします。

かれこれ8年ぐらい前、京○多摩川駅のそばのアパートに住んでいたんだ。
友達が元々住んでいて、入れ替わりで入るという条件で大家と交渉して敷金、礼金なしで入居できた。

荷物の運び込みも無事終わり、簡単な引っ越し祝いをしようと
徒歩30秒ほどのコンビニに酒とつまみを買いに行く途中、
ふと一本の木に目が止まった。

2車線の道路、その一部が不自然に分かれ、中央線のあたりに一本の木がぽつんと立っている。
幹には縄が巻かれているが新しいものではなかった。

段ボール箱が無造作に並ぶ部屋で酒を飲みながら、
その木の話題になったけど友達もよく分からないと言う。
「あれ、何かの御神木?」
「道路作るとき切れない理由でもあったんかね」なんて酒のネタにしながら、
そんな話をしながら、そういえばこの部屋にいる間に何度か金縛りにあったという話を聞いた。

友達はそこに住んでる時に限らず、たまに金縛りに合うということは
知っていたから特に驚かなかったし、
その時はふーんって感じで聞いてた。

何週間か経って片付けも終わり、その部屋での生活にも慣れてきた。
ただ、どうもその部屋が好きじゃなかった。あまり居心地が良くないというか…
道路に一番近い一階の部屋なので、通行する車の音が結構したし、
小さい庭が付いてたんだけど、日中も日が当たらずいつもじめじめしていた。

昼干しておいた洗濯物を夜を取り込もうとした時にシャツに
何匹かナメクジが付いてたりした時もあった。
大学から帰って来て入り口の扉を開けた時も玄関から見える
部屋の暗闇が湿気を帯びてる感じがして嫌だった。

冬になってエアコンを付けた時もなかなか部屋が暖まらなかったり、
単にエアコンの調子が悪いんだろうと思ってた。
そんなある日、いつものように布団に入って携帯をいじりながら寝落ちしたんだ。
そして夜中になぜか目が覚めた。

体が動かない、生まれて初めての金縛り。
暗闇の中で胸にかかっているはずの掛け布団がゆっくりと遠ざかって行く。
肩から首にかけて何かに掴まれているような感触。ワケも分からず必死で頭の中でお経を唱えて、
いつの間にか再び眠りに落ちてたんだけど、その夜見た夢は、
河原、人、内蔵、みたいなすごい悪夢だった。

朝起きると汗びっしょりで肩から首にかけての寒気が取れなかった。
そしてひとつのことに気付いた。昨夜のあれは何かに引っ張られていた。
その方向は「木」の方向だった。

もし逆向きに寝ていたとして、足を引っ張られていたら、
引っ張ったそれを見てしまっていたのかもしれない…