解体屋でバイトしてたんだけど家屋解体してると
いろんな変わった家や変わったもんが出てくる
山の方の古民家や古民家はアツい
押入れの中に骨がギュウギュウに入ってたり
漆喰っていうか塗り物の壁の中に長い髪の毛が入ってたり
家の真ん中に入口のない部屋があってそこに小さい鳥居が立ってたり
結局は何でもかんでも壊してダンプに乗せて捨てちゃうんだけどな
余りにも気味の悪いもんや縁起モンは酒と塩かけて…まあ結局は捨てるw

そんな中でもある日、某渓谷のとある古くからの豪邸を壊す仕事を持ちかけられた
そして俺は社長と一緒に運転手として下見に行ったんだわ
家の中の残置物とかの確認は見積もりする社長とその息子が見るから
俺は車外でタバコ吸ってジャンプ読んでた

すると田舎に珍しい高級車が停まってるせいか
多分近所の婆さんが何しに来たのって俺に話しかけて来たから
俺たちは解体屋でこの家を壊す下見に来たんだよって答えると婆さんが
ああ、この石の家を壊すんだねえ、って言った
見た目普通の木造のでかい古民家だし、なんで石の家なん?医師の家?
お医者さんが住んでたの?って聞いたら婆さんは
いや、石があるんだよ。って言った
俺は、なにそれ?壊すと祟られたりしちゃうの?って冗談で聞いたら婆さんは
知らないよ、ただ単に不思議な石があるみたいだよ。って笑って答えてくれた
興味の出た俺はその家に入って社長たちを探すことにした

門から入ると母屋と荒れてはいるが広い庭
そしてその庭の片隅には蔵がみっつ並んでた
ちょうどそこに社長の息子の姿があったから
俺は蔵の方に歩いて行った

社長と息子がいたのは三つの蔵のうち真ん中の蔵
社長はその中にいたんだけど、その蔵の中が変わってた
その真ん中の蔵だけ正方形で、その中央に土俵みたいに円の形で
白い石が埋め込まれてて、そのまた円の中央に
1m真っ角くらいの黒い石の板と直径1mくらいの白い石の板が
向かい合うように立ってて社長はそれをずっと眺めてた
俺はモノリスみてーだな、気色ワリイとしか思わなかった
その日はその家を調査して帰ったが、数日後すぐにその家の解体を請ける事が決まった

解体初日の朝、会社に集まると珍しく社長が出てきて俺たちに言った
蔵にある石の板は絶対に傷つけずに持って帰って来い、と
で、俺たちは現場であるその家に向かった
木造の家屋なんて壊すの簡単なんだよ、広い道と土地さえあれば
重機で一気にやっつけちゃうんだけど朝の社長の一言があったから
真ん中の蔵には手をつけず他のとこからバンバンぶっ壊していった
で、数日たって真ん中の蔵ぶっ壊すかとみんなで中に入ったら
いきなりリーダーのコウさん(超マッチョな中国人)が
蔵の外へ飛び出して吐き始めたんで、俺たちがどうしたんすか?って聞くと
あの蔵ヤバイよ、気持ちわるいよって言い出した
俺たちは平気だし、やらなきゃ終わらねえから仕事続けようとしたら
コウさんはヤバイから帰るって勝手にダンプの一台に乗って帰ってしまった
しょうがねえから俺たちだけで壊して、例の石は養生してダンプに積んで持ち帰った

会社に戻るといきなり社長に俺たちは怒られた
コウさんが激怒して会社辞めるって飛び出した、お前たち何したんだ!
って怒られたけど俺たちに分かるわけがない
だから社長に、あの石のある蔵を壊そうとしたらコウさんは怒り出して
いきなり帰ったんでわかりませんて言ったら社長は俺たちを突き飛ばすように
ダンプに積んだ石の所に行って、早くこれを運ばんか!って怒鳴り始めた
本当に訳がわからなかったけれど社長の言うとおりに応接間にその石を
社員総出で運んだ、そして社長はそれを応接間のソファーの上に置かせた
それ以来社長はその石にお茶を出したり話しかけたりするようになった
俺たちと社長の息子は気持ち悪いと思ってたけれど何も言わなかった

1週間くらいしたら社長が突然息子に跡を継がせるって言いだした
息子にしても本当に突然だったみたいで会社はしばらくバタバタした
しばらくろくに仕事できねえだろうなと思って俺はバイトをしばらく休むことにして
沖縄に2週間旅行しに行った
帰ってくると会社はすっかり新体制で動いてた
息子に社長は?って聞いたら石と一緒に遠くの実家に行っちゃって
連絡しても満足に帰ってこないって言ってた
あの石、やばいもんなのかな?って息子に聞いたら息子もそう思ったらしくて
あの民家の近所の人に聞いたみたいで、それによると
過去2人あの蔵で死んでるということを聞かされた、と
一人はその家のご主人、もう一人は全く知らないその街の人間ですらないオッサン
二人共事件性はなかったみたいだけどって話だった
それから数ヶ月して俺もそこをやめちゃったからその後前社長がどうなったかは知らない
ただあれから10年以上たったけど会社はまだ続いてる
というか息子がうまくやったのか新しいビルを建てるくらい儲かってるみたいだ
やっぱりあの石ってなにかヤバイもしくは不思議なもんだったのか?
なんてふと思ったりする