あんまり伸びてないので「守護神の弱い」俺が投下します。 

前の練馬区に住む前の話。 

浅草から引っ越した後の話。小学校1年の「オチの無い話」です。 

浅草から引っ越し、東京都田無市(現西東京市)というところに一家で引っ越しました。 

住まいから自転車で15分ほどのところに東農業大学の試験場がありました。 

子供達の間では「東大農場」と呼ばれていて、ただっぴろい敷地にくぬぎやらの林が形成されていて 

夏には格好の昆虫採取の場所として遊び場となってました。「関係者以外立入禁止」となってましたが。 

浅草で育った私にとっては「まったく未知な世界」土の臭い。自然の臭い。本でしかみた事のなかった世界。

地元の子はもう勝手を知っていて、昼間なのに次々とかぶと、くわがたをゲットしていく中、 

見よう見まねで真似をするが採れずカナブン、かみきりむしをカゴにいれていくような。。。 

ある日、テレビで夜の森に昆虫をとりにいってかぶとむし、くわがたをドンドンとれる方法をやっていたんを見た俺は 

いつものように昼、友達と東大農場に遊びにいって内緒で餌をしかけたのです。 

夜に来て、たくさん採取すれば自慢できるという考えがあったので。。 

その日も採れずに自転車で帰り、ご飯を食べ、寝た。。。ふりで布団の中で時間がくるのを待つ。 

そして0時。 東大農場に着きました。 

夜の森の怖さを知らない下町っこはライトを片手にずんずん入っていきました。


辺りは本当の闇。ライトの光もコントラストがくっきり出る位の深い闇。 

怖さはまったくない。今考えると恐ろしいです。。。 

エサを塗ったところにいくとノコギリクワガタが。 

ですがオレンジと黒のストライプのでかい蜂もいます。見た事ないけど、蜂は刺されると痛い。 

殺そうと。他の虫に気づかれないように虫網の柄のおしりで「ズカ」。うりゃあ死ねー。 

今の俺がいたら止めますね「それはスズメバチっていって、非常に強い毒をもつ。。」って。


という感じの無知な冒険をして、エサポイントを点々としていました。 

森は全体的に薄いもやがかかっていたのですが、 

気がつくと木の間に縦長の濃いもやが浮いています。 

まだこの頃の私は「霊=おそろしい人の形をしたもの」という知識しか無い為、 

その縦長のもやをおもしろげに虫網でたたききってしまったのですが、 

気がつくとライトでぐるっと周囲を照らしてみると

「縦長のもや」に囲まれている事に気づきました。 

ここまで数が多いと「なにかわからないものに囲まれている」という考えは普通に生まれました。 

そういう考えから想像力が働いてからか、そのもやは揺れながらかすかに近づいてきている気もします。 

自然と急に闇の中に一人でいるという事がものすごい恐怖になり、 

涙をこらえつつ、声を出さないように(見つかると東大農場の人につかまり、どこかに連れていかれるという話があったため) 

そのもやを避けながら、やみくもに逃げて行ったのですが、 

ここで余談。後からわかった事なのですが、第二次世界大戦当時、東大農場は空襲時の避難場所となっていて防空壕跡もあったようす。 

近くには金属工業という兵器製造をしていた工場もあったりとか。


今、仕事待ちで待機状態なので連投。 

ただただもやを避けるように逃げるだけ。方向もわからない。 

気がつくと友達とも来た事のない場所にいる。 

自分を勇気つけるように仮面ライダー(スカイライダー)の歌を歌う。ひっそりと。 

もう、周りは目標物もない。木、木、木。周りにはその縦長のもやは無い。逃げてきた方にライトを向ける。

すぐ真後ろに縦長のもやが次々と木々の間から出てくる。「おっかけられてる」! 

 

「あぶないよ」と声がする。そっちの方をむくと女の子が見える。歳も近い感じの。 

ライトも当ててないのに見える。でも光ってない。でも見える。 

とライトを当てると確認しようとするとその子はすぐ隣に来てた。 

「こっちにきて」という。どれくらい歩いただろうか。しばらくすると知ってる池が見えた。 

「ここはわかるよ」と俺がいう。 

「なにしに来たの」?と聞く女の子。 

「かぶととくわ取りにきた」「くわ」?「くわがた」 

「私わかるよ。着いてきて」「うん」なんでだろう、不思議に思わんか?小一の俺。 

しかも森にもどるなよなあ。。。。


で、結局その日は「なんか今日はいないみたい」という事で採れずに帰るんだけど、 

その日を境に一人で東大農場に遊びにいって、その子と遊ぶ事が多くなってきた。 

ある日、その子と遊んでいると農大の研究員につかまる。 

入り口まで連れてこられ「危ないからはいっちゃダメだよ」と俺だけ門から出され帰らされる。 

でも、その子はそこにいたまま。 

ある日聞いてみる「家どこなの」?「ここ」 

あーだからあの日、俺だけ帰らされたんだなと納得してみた。 

そんなこんなで夏が終わり、冬がきて、また夏がくる。 

夏しかいかないのである。虫がいるから東大農場にいくのであって。 

その子は自然と記憶から消えていた。小一だしね。 

小二になり、夏がきてまた東大農場に通う事になるのだが、一人でいく事はもうなかった。 

いつからなんだろう。夏が来ても東大農場に虫を取りにいく事が無くなり、 

その子の事もすっかり忘れてた時、小学校の校庭の隅でひっそり遊んでいると、目の前の木に 

今まで見た事もないでかさのノコギリクワガタが飛んできて止まった。 

つかまえた瞬間、小一のあの体験が急に蘇ってきた。。。。

でもその頃の俺はガンプラとファミコンに夢中だったので、あの森にもどる事はなかった。